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中国経済

日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?

CHINA’S HOUSING CRISIS

2025年7月14日(月)15時45分
易富賢(イー・フーシェン、米ウィスコンシン大学の人口動態学者)
バブル崩壊時に群がる人

日本では1991年にバブル崩壊で株価が暴落、デフレの罠に陥った HARUYOSHI YAMAGUCHI/AFLO

<日本以上のデフレと失業圧力に直面しつつも、中国政府は「根本要因」を放置したままだ>

今の中国経済は、不動産バブルの崩壊が長期的な停滞を招いた日本の1990年代と不気味なほど似ている。

日本の不動産バブルの前兆は、住宅価格の年収倍率が跳ね上がったことだった。東京ではこの比率が85年の8倍から90年には18倍に急騰。土地税制や金融の規制緩和、財政と金融政策の連携不足など複数の要因が引き起こしたものであり、最初に住宅を購入する層(平均39〜43歳)による需要増大も価格上昇を後押しした。


住宅を購入した人は豊かさを感じ、消費も増える。モノやサービス、株の価格は上昇し、雇用は拡大した。しかし高齢化という人口動態の変化が主な要因となって、住宅需要はすぐに減り始めた。91年に65歳以上の人口が13%に達すると、不動産価値は急落し、株式市場は暴落。日本は少子化と失業率の上昇が伴うデフレの罠に陥った。

事態をさらに悪化させたのが、誤った状況判断だ。人口動態の変化は慢性的な病であるのに、急性の経済疾患として扱われてしまったのだ。政府は世界の主要経済国がドルの切り下げに合意した85年のプラザ合意が円高の原因と考え、通貨高を抑えるべく、金利引き下げや財政赤字の拡大、量的緩和などを実施した。

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